広がる職場・求められる人材


 医療保険制度は、健康保険法施行以来80年、国民皆保険以来46年、わが国医療の根幹として発展の一途をたどっております。医療費もレセプト件数も年々増加し、診療報酬請求事務に従事する方々の責任は、ますます重大となっております。
 診療報酬請求事務は、専門知識が必要であり、迅速・正確な処理が要求されますので、関係各方面から請求事務従事者の資質の向上と人材の確保が強く求められています。


ごあいさつ
請求事務従事者の資質の向上


財団法人 日本医療保険事務協会・理事長

柳澤健一郎

 わが国の医療費は年々増え続け、現在約34兆円を超える規模となっております。それと同時にその請求、支払の基となるいわゆるレセプトの件数も18億件を超えて増え続けております。
 このレセプトの作成を中心とする診療報酬請求事務は膨大な量となり、その業務を外部に委託する医療機関も増加しているのが現状であり、請求事務を迅速かつ正確に行うことの出来る人材を育成し、確保されることが望まれています。私共の財団は、厚生労働省が設置した「診療報酬請求事務等に関する検討委員会」の報告書に基づいて平成6年2月に設立された公益法人であり、診療報酬請求事務能力認定試験を行うなど、請求事務従事者の資質の向上を図ることを目的として活動しております。
 わが国の医療保障体系は、国民皆保険、医師の自由開業制、被保険者の医療機関自由選択制、出来高払い制度などを基本としながら構築されてきております。御承知のように出来高払い制度は診療行為と診療に使われる物を個別に評価して積み上げていく方式であり、その時々の医学や医療技術の進歩を診療報酬改定の際に採り入れ易いというメリットがあるものの、医療の高度化等に伴い余りに複雑すぎるという批判もあり、近年慢性疾患や高齢者に対する治療等に一部包括払いを導入し、さらに平成15年4月から急性期入院医療に係る包括支払方式(DPC)が導入されてきています。いずれにしても、この複雑な診療報酬点数表を正しく理解することが、制度運営の基本の1つといえましょうし、請求事務が専門性を要求される質の高い業務であり、適正な請求は医療保険制度の円滑な運営に寄与するものだと考えます。
 このような業務に携わる方々の質を担保し、医療機関の需要に応える方向で努力することが我々の義務であり、認定試験に合格された方々がそれぞれの職場で、その意義を十分に理解され実力を発揮されることが期待されています。
 受験される皆様方の御奮闘をお祈りします。



協会に寄せる声

専門職としての自覚と誇りを


歯科医療研修振興財団 前理事

宮武光吉

 現行の医療保険制度は、昭和2年から施行された「健康保険法」により、基本的な事柄が定められ、実施されている。その中で、保険給付として、保険医療機関又は保険薬局の責務が規定されており、診療報酬の請求、算定、審査および支払について述べられている。
 いわゆる点数表も、この規定に基づいて厚生労働大臣が定めて告示をしているものであり、そのためには中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問、答申が必要とされている。年間34兆円を超える医療費が賄われている今日、診療報酬の請求が適正に行われなければ、制度の円滑な運営はもとより、国民の信頼に応えることができないと考えられる。
 財団法人日本医療保険事務協会による能力認定試験は、資格試験ではないが、なかなかの難関であり、高い水準が維持されているのは、このような理由からみて当然であるといえよう。
 現在、診療報酬請求事務に従事されている皆さんが、このような点に留意をされて、実力を試され、合格した暁には専門職としての自覚と誇りを持って、業務に精励されることを望んでやまない。


診療報酬請求事務能力認定試験

この試験は、診療報酬請求事務に従事する者の資質の向上を図るため、 財団法人日本医療保険事務協会が実施する 全国一斉統一試験です。

【受験資格】

●受験資格は問いません。


【受験科目】

●医科と歯科に分け、それぞれ学科試験と実技試験を行います。


【出題範囲等】

●出題範囲は「診療報酬請求事務能力認定試験ガイドライン」のとおりです。なお、試験場への診療報酬点数表、その他の資料の持ち込みは自由です。


【試験日・時間】

試 験 日
種 目
試験時間
年2回(7月、12月)、日曜日または祝日  学科試験 

 実技試験 
3時間


【試験地】

札幌市

仙台市 さいたま市

千葉市

東京都 横浜市 新潟市 金沢市 静岡市
名古屋市 大阪府 岡山市 広島市
高松市
福岡市 熊本市 那覇市  




【受験申込方法】

●試験実施のつど、当協会へ受験案内、願書の用紙を請求していただき、その案内に従って所定の期日までに受験手数料を納入し、願書を提出します。
なお、通常、試験案内・願書用紙の受付けは、試験日の3.5か月前、受験手数料および願書の受付期間は、試験日の2.5か月から1.5か月前です。
●受験申込者別の申込用封筒(簡易書留)による郵送申込みとします。なお、学校等で団体扱いを希望される場合は、あらかじめ、その旨申し出てください。
●受験願書の提出先(問い合わせ先)

〒101-0047 東京都千代田区内神田2-5-3 児谷ビル
財団法人 日本医療保険事務協会
(電話 03-3252-3811,FAX 03-3252-2233)

【受験手数料および納入方法等】

●受験手数料 7,500円
●受験手数料は郵便振替(財団法人 日本医療保険事務協会所定の用紙)で納入してください。この場合において郵便振替に要する手数料は受験者の負担とします。
*納入された受験手数料は返却しません。


【合否の通知および認定証の交付】

●試験月の翌々月末までに、全受験者に文書で通知します。
●合格者には認定証を交付します。
●合格者の発表については、「協会だより」,「社会保険旬報」((株)社会保険研究所 発行)に掲載するほかホームページ(URL http://www.shaho.co.jp/iryojimu)にも掲載いたします。


診療報酬請求事務能力認定試験 受験者の状況について(第1回〜第31回)
1. 性別

2. 年齢構成(医科・歯科合計)

3. 受講経験の有無(医科・歯科合計)

4. 実務経験の有無(医科・歯科合計)


試 験 実 績

■回数別・医科歯科別 受験者数、合格者数、合格率

区分 受験者数(単位:人) 合格者数(単位:人) 合格率(単位:%)
医 科 歯 科 医 科 歯 科 医 科 歯 科
第1回 6,657 259 6,916 2,033 81 2,114 30.5 31.3 30.6
第2回 5,257 388 5,645 1,403 196 1,599 26.7 50.5 28.3
第3回 7,311 300 7,611 2,120 115 2,235 29.0 38.3 29.4
第4回 4,818 339 5,157 1,665 186 1,851 34.6 54.9 35.9
第5回 6,000 352 6,352 1,566 169 1,735 26.1 48.0 27.3
第6回 5,477 278 5,755 1,751 100 1,851 32.0 36.0 32.2
第7回 5,199 241 5,440 1,663 85 1,748 32.0 35.3 32.1
第8回 5,706 257 5,963 1,622 88 1,710 28.4 34.2 28.7
第9回 6,693 261 6,954 2,040 84 2,124 30.5 32.2 30.5
第10回 7,196 273 7,469 2,389 114 2,503 33.2 41.8 33.5
第11回 7,836 287 8,123 2,804 103 2,907 35.8 35.9 35.8
第12回 6,752 353 7,105 2,168 125 2,293 32.1 35.4 32.3
第13回 7,668 237 7,905 2,175 101 2,276 28.4 42.6 28.8
第14回 7,164 271 7,435 2,045 92 2,137 28.5 33.9 28.7
第15回 8,659 269 8,928 2,567 93 2,660 29.6 34.6 29.8
第16回 8,016 284 8,300 2,236 91 2,327 27.9 32.0 28.0
第17回 9,893 261 10,154 2,579 104 2,683 26.1 39.8 26.4
第18回 9,762 306 10,068 3,538 121 3,659 36.2 39.5 36.3
第19回 11,877 289 12,166 4,205 106 4,311 35.4 36.7 35.4
第20回 9,763 321 10,084 2,557 119 2,676 26.2 37.1 26.5
第21回 12,998 234 13,232 3,191 86 3,277 24.5 36.8 24.8
第22回 9,531 298 9,829 3,400 116 3,516 35.7 38.9 35.8
第23回 12,410 243 12,653 3,164 104 3,268 25.5 42.8 25.8
第24回 9,126 245 9,371 2,724 104 2,828 29.8 42.4 30.2
第25回 10,736 204 10,940 2,986 82 3,068 27.8 40.2 28.0
第26回 8,220 246 8,466 2,048 88 2,136 24.9 35.8 25.2
第27回 9,482 194 9,676 3,153 78 3,231 33.3 40.2 33.4
第28回 5,960 129 6,089 1,554 47 1,601 26.1 36.4 26.3
第29回 8,388 167 8,555 2,268 58 2,326 27.0 34.7 27.2
第30回 7,553 128 7,681 1,823 46 1,869 24.1 35.9 24.3
第31回 9,660 118 9,778 2,600 40 2,640 26.9 33.9 27.0
合 計 251,768 8,032 259,800 74,037 3,122 77,159 29.4 38.9 29.7


合格された方の声

毎回受験している気分です

山本智子(第1回試験合格・岡山県・岡山会場)

 私は現在、医療短期大学で専任講師として、医療事務演習を担当しています。
 平成6年12月に、この検定試験が行われることを知り、学生といっしょに、とにかく受験してみることにしました。当時は受験対策用のテキストや問題集がなかったので、資料を手作りでまとめ、試験に臨みました。
 試験は、日常よく出てくる算定方法を問う問題から、告示や通知を熟知していなければ答えられないような難易度の高い問題まであり、なかなかてごわい内容でした。
 合格通知を受け取った時は、ほっとするとともに、受験したことにより、医療保険制度、関係法令そして点数算定の解釈のしかたなどを読みなおし、新たな技能を習得できたことに気づきました。
 また、学生にも、検定合格という目標ができたことにより、自ら学ぶ姿勢が見られ、勉強を楽しんでいる様子すらうかがえるようになりました。
 受験したことにより、私も学生も変わりました。以来、意欲的に学ぶ学生たちと受験対策に取り組んでいる私は、毎回受験している気分です。


受験雑感

市川 歩(第8回試験合格・茨城県・東京会場)

 認定試験を受けよう、勉強しなくちゃいけない、と思い始めたのは昨年の春頃でした。最初は何からはじめていいのかわからずになかなかとりかかることができず、気持ちだけがあせっていました。
 受験直前対策セミナーに参加してからやっと自分の苦手な分野、これから勉強しなくてはいけないポイントがわかりました。エンジンがかかったのは本番試験の1週間前で、模擬試験の出来の悪さに驚き問題集をひたすら解きました。毎日少しずつ勉強するのが理想的だと思いますが、私のようななまけ者には短期集中が向いているなあと実感しました。
 合格発表当日。試験からずいぶん日がたっていた為自分でもすっかり忘れていつものように仕事をしていると内線電話がなり、財団のホームページを見ていた方から「市川さん合格してるよ」と知らせて頂きとてもうれしかったです。
 正直にいうと、一番うれしい理由は、もう一度勉強したり、試験を受けなくていいのだということかもしれません。


今は、医療事務講座の講師をしています

床鍋千鹿子(第7回試験合格・東京都・東京会場)

 最初は何か資格が欲しいな、という気持ちでした。そんな時友人に誘われ、また医療関係にはもともと興味がありましたので、思い切ってこの資格にチャレンジすることにしました。
 はじめは、全国レベルの試験に合格することなど無理だと思っていた私も、勉強をしてゆくうちに、診療報酬請求事務という仕事の奥深さや、難しさに驚き、学生時代に戻った気分で無我夢中で勉強しました。
 合格の通知を手にした瞬間は夢を見ているのではないかと思いましたが、同時に自分の中に“この仕事をしよう!”という自信が湧いてきました。
 いま私は、自分の学んだ医療事務講座で講師として働いています。受講している時は「講師の先生方はすごいな、なんでも知っているんだ」と尊敬していました。まさか一年後に自分が講師として教える立場になるとは考えてもいませんでしたが、今では、これまで以上に知識が豊富になり、診療報酬請求事務の技能が確実に自分のものになってゆく充実感を実感する毎日です。
 これからも受講生の方々と一緒に、より深く医療事務を学んでゆきたいと思います。


認定証を手にした時は、涙が出る程嬉しかった

松田陽子(第8回試験合格・愛知県・名古屋会場)

 医療事務を学び始めて、まだ日が浅いのですが、この分野にとても興味を持っています。それは医療事務というものが、“私たちの日常生活に密接に関わっている”からです。また“私”にとって、医療事務はとても奥が深く、変化と進歩の連続なのです。だから、財団の試験を受験するにあたって、必死で勉強しましたが、“これだけ勉強すれば大丈夫”などと考えた事は一度もありませんでした。そんな気持ちの中で、試験の日を迎えました。試験中は緊張のあまり、手が震える事もありました。そして、念願の認定証を手にした時には、涙が出る程嬉しかったです。
 試験への合格は、一つの目標でした。しかし、この事はゴールではなく、新たなスタートラインに立てたような気分にさせてくれました。
 これからが本当の意味での“医療事務を学ぶ”事だと思っていますし、日々努力を重ねていくつもりです。


「気持ちを新たに」

金内康子(第8回試験合格・埼玉都・東京会場)

 社会保険関係病院で、医療事務の仕事に携わるようになって10年以上がたち、今までの知識や勉強してきた事がどの位身についているのか確かめる意味もあって受けたのが受験した主な理由でした。この試験は、上司や同僚がすでに合格していたので受験勉強をする時に分からない所は質問できたりといろいろととても心強かったです。
 受験は同じ医療課の人と一緒でしたが、お互いに情報を交換したりたいへん励みになりました。 勉強は、いざ問題集をやってみると自分の知識の足りなさを改めて痛感しました。また請求事務の内容の多さと複雑さには、まだ経験不足のため理解するのは容易ではありませんでした。そのためか合格した今でも日々の仕事の中で疑問にぶつかるたびに本をよんではまたひとつ覚えるというような毎日です。
 今回の受験は私にとって「合格」という事だけでなく、もっと何事にも前向きに取り組んでいかなくてはならないという今まで忘れていた事を思い出させるものでした。これからもこの気持ちを忘れずに請求事務の仕事に当たって行こうと思います。


合格して、自信がもてるようになりました

森澤志保(第8回試験合格・東京都・東京会場)

 短大を卒業して、仕事をしながら夜間のコースに通い、医療事務の勉強を始めました。資格がとれたらこの先楽だろうな、という軽い気持ちで財団の試験に挑みました。資料の持ち込み可ということだったので、どうにかなるだろうと甘くみていたために見事不合格。その時、医療という世界は甘くないんだと実感しました。と同時に悔しくてたまりませんでした。悔しさと自分へのけじめをつけるため、次回の試験は必ず合格するぞと心に決め、もう一度基礎から勉強し直しました。・・・そして努力の甲斐あって無事合格。
 合格して自分に自信が持てるようになり、仕事の面でも私生活の面でもプラスになったと思います。


合格の喜びを胸に、頑張っています

阿比留志穂美(第8回試験合格・福岡県・福岡会場)

 今回、この「診療報酬請求事務能力認定試験」に合格した事は、私が、専門学校に入学した当初からの目標でした。
 授業では、専門用語が並び、始めは戸惑いの連続でしたが、慣れてくると、理解した事や覚えた事を生かそうとして、勉強意欲がわきました。しかし、試験日が迫るにつれ、だんだんと不安になり、心にも焦りが生じてきました。この気持ちを少しでもやわらげようと、レセプト作成では症例をいくつも解き、学科は過去の問題などを解いたり、点数表をチェックしたりしました。
 試験当日も、不安な気持ちは消えませんでしたが、“これまで学んだ事を生かすのは今だ”自信を持とうと考え方を変えました。そのためか、リラックスして受験でき、合格という目標を達成することができました。
 これからもこの気持ちを忘れずに請求事務の仕事に当たって行こうと思います。
 今は、この喜びを忘れないで、「医療の現場でバリバリ働く」という新たな目標に向かって頑張っています。